
まずは、このブログを読んでくださりありがとうございます!
今回はボーダレスキャリアの事業に込めた想いについて、改めて書きたいと思います。
「怒り」が私を突き動かした
私がこの事業を始めたきっかけ。それは「怒り」でした。
児童養護施設から社会に出た若者で就職した会社を早期で辞めてしまい、その後の就職先が見つからないことが多いのです。彼らには頼る家族もいない、施設にも戻れない。そうして孤立を深めてしまうのです。
「いやいや、それおかしくない!?」
私が抱いた感情は可哀相とかではありませんでした。表すなら、「怒り」に近いもの。
彼らがなぜこのような状況に陥ってしまうのか。それには過去の虐待を受けた経験が大きく影響していると考えられます。「自分の力だけではどうすることもできない」環境の中で受けてきた心の傷。それが大人になってからも自己肯定感の低さや人間関係を築いていくことの難しさという形で表れていたのです。
苦しむ若者は実はたくさんいた
事業を進めていく中で、このような困難に直面している若者は何も児童養護施設出身者だけではないことに気づきました。
2人の弟を高校に通わせるために働き続けてきたAさん(20代前半・女性)。家の経済状況を考えると、自分が大学に進学するのは難しいと考え、働いて家計を支える選択をしました。アルバイトをいくつも掛け持ちして20代前半まで懸命に働いてなんとか下の2人は高校を卒業。「さあここからは自分のやりたいことに向けて進もう!」そう思って踏み出しましたが、そこで待っていたのは、書類選考でどんどん落とされるという現実。
その分野の学校で学んできた訳でもないし、経験もない。学歴が高卒ということも影響していました。兄弟のために自分を犠牲にして働いてきた、こんな心の優しい女性なのに、履歴書の経歴だけではなかなかその部分は見てもらえないのです。
Bさん(20代後半・男性)は、高校はサッカー部、大学ではフットサルで活躍したスポーツマンでした。就職でもその点を評価してもらい、貿易関連の会社で働くことになります。ところが、正確性を求められる細かい仕事が苦手で抜け漏れが頻発します。さらには、考えを整理して相手に伝えるというのも苦手で、「何を言いたいか分からない」と、周りから相手にされなくなっていきました。
上司もわざと高圧的な接し方をしたり、無視したりというのが続き、半年も経たずに退職。心をぽっきりと折られ、その後は「自分は正社員で働くのは無理だ」とアルバイトで生きていくことに。
この2つのケースの他にも、小学生までは友達も多く活発だったのに、中学になって複数の小学校の人たちとも一緒になった途端、関係性が変わり急にいじめの対象になった人。大学時代のアルバイト先で知り合った年上の男性の子供を妊娠、男性は逃げて親にも勘当され、子育てしながら働いていくことになった人。
本当に様々なケースがあります。そういった様々な状況で悩み苦しむ人がいることを知り、その後は対象となる若者を下記のように定義し直しました。
「不遇な過去や家庭環境により、人間関係構築やコミュニケーションの不成功体験が続いたことで、自己・他者肯定感が低く挑戦や行動の継続ができない若者」
それは、誰もが陥る状況
ここまで読まれて、「私の周りにはそんな人いないなぁ」なんて思った方もいらっしゃるのではないでしょうか?それは、ただ知らないだけなのかもしれません。事実、私たちのサービスを利用されている人の中にも親が経営者だったり、大企業に務めていたりする方もいますので、経済的に裕福かどうかも関係ありません。
もしかしたら、自分自身もそのような状況に置かれる可能性もありますし、自分の子どもがそのような状況になることだって大いに考えられます。
失敗してもやり直せる仕組みが必要
じゃあ、一度そんな状態になったらどうするのか?自分一人で這い上がるしかないのか?もちろん、自分一人の力で這い上がれる人もいるでしょう。ただ、それができる人はそう多くはありません。だからこそ、なんらかの理由で失敗してもやり直せる環境が必要なのです。学歴や職歴ではなく、「その人の魅力」をちゃんと見てもらえる仕組みが必要なのです。
それが、私たちが提供している「ステップ就職」です。
「ステップ就職」は、段階的な成功体験を積み重ねることで彼らの不安を自信に変えていけるサービス。会社見学や職場体験、さらには最長半年間かけて本人と会社の双方が適性を見極められる「お試し就職」を経て正式に就職することができます。さらには、就職という枠を超えてITやパソコンスキル、英会話などを学べるオンライン教育サービス「STEP ACADEMY」も提供しています。
実際にどう変われたのか?
前述した、兄弟のために進学をあきらめ、就職が難しかったAさんは、私たちのサービスを通して、学歴不問、未経験からシステムエンジニアを目指せるという会社に就職が決まりました。これから社内のデジタル化を進めていく上で、若い人の力を求めていた老舗の製造業の会社。下手に経験があるよりは未経験でも積極的に学び、一緒になって会社をつくっていくという姿勢がマッチしての採用でした。
そして、仕事での失敗経験から「正社員は無理だ」とあきらめてしまっていたBさんは、お試し就職で自分の特性もしっかりと伝えることができました。その結果、素直な性格と積極性が評価され、1年半前に豊洲市場にある容器や包装資材を扱う会社に正社員として就職。今では若手の中心的存在として活躍しています。
このように私たちのサービスを利用して企業で働くチャンスを得た若者は約250名、正社員になった方は約100名います。彼らの就職先はどこも、若者の成長に理解のある職場。そのような環境で働くことで、彼らは自己成長と他者貢献という仕事へのやりがいを見出すことができています。
さらにステップ就職利用者の正社員後の定着率は95%。お試し就職で本人の納得感を高め、就職後も手厚い定着サポートを行うことでこの数字を実現しています。このように、彼らはしっかりとしたサポートさえあれば、自分の仕事にやりがいを持って働き続けることができるのです。
不遇な経験なんて関係なく希望が持てる、そんな社会をつくりたい
私たちはこの事業を通じて、過去の不遇な経験が原因で将来に希望が持てない若者を一人でも減らしたいと考えています。
彼らは経済的、精神的に安定することで、自分の未来を切り開いていく一歩を踏み出すことができます。将来に希望を持って生きられる若者を一人でも増やすべく、これからも一人ひとりに寄り添い伴走していきます。
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