
みなさん、こんにちは!
Relight株式会社の市川です。
Relightでは、ホームレス問題をテーマにした事業として、寮付きお仕事紹介サービス「いえとしごと」を運営しています。
「いえとしごと」を詳しく知りたい方はこちら
事業を始めて1年半、法人登記をしてから1年が経過して、累計お問い合わせ数が3,000件、実際に就職した方の人数が150人を超えました。
仕事ではなく市役所やNPO団体さんにお繋ぎして、支援を受けるサポートもしているので、そちらも含めたら生活を立て直した方は倍以上になるかと思います。
これはいつも私が無理なお願いをしても快く相談に乗ってくださる企業の方々や、ご助言してくださる支援団体の方々のご協力があってこそというのはもちろん、いえとしごとを使ってみようと一歩踏み出してくれた相談者の方のおかげです。
いつも本当にありがとうございます!これからも一緒に頑張っていけたら嬉しいです。
今回は、そんな事業を通じて感じた「人を信じる」ということについて、少しお話しさせていただければと思います。
「信じる」とか「裏切る」とか、つい簡単に使ってしまう言葉ですが、毎日人と向き合う上で自分なりの解釈が生まれてきました。
みなさんはどんな使い方をしていますか?
このブログが少しでも考えるきっかけになれば幸いです。
笑顔で話していた人が翌日急にいなくなる
いえとしごとには様々なお悩みを抱えた方が来られるため、100人いたら100通りの解決策を一緒に考えていきます。
そのためほとんどの対応がオーダーメイドになります。
現在は関東圏でのお仕事紹介が中心ですが、全国から問合せが来ますし、年齢も性別も様々。
単身者が多いですが、お子さんがいたり、高齢の家族がいたりする場合もあります。
そして、ほとんどの方が金銭面的に余裕のない状況です。
さらに今日泊まるところがない、明日家を追い出されてしまうなど、時間の余裕もなくなってくるので、精神的にも徐々に追い詰められてしまいます。
そのような状況ですと、人は冷静な判断ができなくなり、目先の手っ取り早い方が良く見えてしまいます。
例えそれが危ない仕事や、怪しい話だとしても。
紹介の話を進めていて、笑顔で面談時に時話してくれていた人が、翌日音信不通になることは正直少なくないです。
その人の本音まで聞き取れなかった不甲斐なさを感じて、改善を繰り返す日々ですが、事業を始めた当初は「一緒に頑張って行こうって話してたじゃんか…信じてたのに…どこに行ってしまったの…」と落ち込むことも多かったです。
そんな中、支援の方に相談した時に「彼らはあなたを裏切ったつもりはなくて、単に気が変わっただけだよ。」と教えてもらい、何それ難しいと思ったのと同時に、何気なく使っていた「信じる」「裏切る」という言葉を意識するようになりました。
前職で指摘された”信じる”という言葉の誤用
「信じる」という言葉を意識するようになり、ふと前職で言ってもらった言葉を思い出しました。
前職では革製品の工場で管理職として勤務しており、生産の予定を立て、工程の改善などを職人のメンバーにお願いをすることが多いポジションでした。
経験がない中での管理職だったとはいえ、今改めて考えても勉強不足で、申し訳ないことに現場で働くメンバーを困らせてしまうことも多かったです。
ある時、メンバーにお願いをする際に「◯◯さんならできます、信じています!」と話したことがありました。
それに対して「市川さんの使う”信じる”は、本来の意味とは違うと思います。」と指摘をしてもらいました。
私はその時答えに窮してしまい、今後は人に信じているって言わないようにしよう、という表面的な捉え方しかできなかったのです。
今思えばもっと思考するチャンスだったのに、とりあえずの結論を決めることで、それ以上考えることをやめてしまいました。
(もしくは自分の小さなプライドを守るために思考を停止したのかもしれません)
前職と現職での経験を踏まえて、私は「信じる」という言葉を、自分が相手に期待する姿や結果になることを願って使っていたのだと気付きました。
そして自分の信じた結果にならなかった時に、裏切られたと思っていたのです。
その一連の流れの中に、相手の気持ちを考え、相手のことを想う視点が一切ないどころか、「相手という軸」さえもないということも気づかずに。
”信じる”ということに正解はない
様々な状況の人と毎日向き合うので、意識せずとも半ば強制的に「信じる」ということを考えるようになりました。
一体どのくらいの人が、相手の幸せを心から願い、相手のことを本当の意味で信じることができているのでしょうか。
これはいえとしごとが特別ではなくどの事業や組織でも言えることで、何気なく使っている言葉は自分の思考や心を映し出す鏡なのだと思います。
今この説明を聞いて、頭でわかったとしても、感情的になってしまう時もある。人って難しい。でも、だからこそ面白いと思います。
信じるということを意識するようになってからも、明確な答えはわからず、相変わらず失敗ばかりの毎日です。
ただ、少しずつですが面白い事象も起きるようになりました。
何回も私との面談をドタキャンする人が、ある時急に約束通り来て、紹介した会社の面接に行き、今では毎日きちっと出勤して働くことができている人もいれば、相談の連絡が途絶えた後、1年振りに連絡が来て、その後紹介先ですんなり仕事が決まる人もいました。
人にはそれぞれのタイミングがあるので、例え今が上手くいかなくても、その時が来たら良い波に乗れるのかもしれません。
その時が来るまでその人を見守っていくことと、何度でも踏み出すきっかけを提供できるような存在になりたいです。
でもそれはあくまで「いえとしごと」的な考え方で、例え相手がどんな選択をしたとしても、それをありのままに受け入れる、頭ごなしに否定せず失敗さえも付き合っていくことが、相手を信じるということなのかもしれません。
そのためにはもっといろいろな事業をつくって、その人が心から望む選択をできるような環境を整えて、もっと生きやすい社会をつくれたらと思います。