
こんにちは。TOÏRO代表の川波です。この秋で渡仏して4年になりますが、自身が実践しているごみゼロに取り組む暮らしを支える、いくつかのサービスをご紹介したいと思います。
1.量り売りの店
1つ目に、私たちの暮らしにすっかり定着したのが量り売りの店。幾つかのチェーンがありますが、私の利用している day by day はフランスとベルギーに64店舗を展開、食料品・洗剤用品・ペット用品など約750品目を取り扱っています。殆どの顧客がリピーターになるほど根強い人気があります。
利用方法は非常にシンプル。家から空いたジャム瓶やタッパーなどの容器を持っていき、最初にレジで店員に容器の重量を計って裏面に書いてもらい、必要な量だけの商品を各自で容器に入れ、購入というシステム。小麦粉がもうすぐ無くなりそう・・という時には、空にしなくてもオッケーで、残ってる量を再度計量してまた継ぎ足します。
洗剤類は、最初に約1ユーロで専用の容器を購入します。うちは台所&洗濯用洗剤、重曹、アルコール酢、柔軟剤をリピートしています。重曹とアルコール酢があれば、洗濯にも掃除にも何でも応用できるので、わざわざ色んな洗剤を買う必要が無くなりました。
ごみが減る以外のメリットとしては、比較的安いこと、確かな生産者が作っていること(生産者はWebサイトで公開)、エコサートなど安全な認定を受けた商品であることと味に満足していること。コーヒー豆や小麦粉の種類が豊富な点も重宝しています。そして、自分が毎月何を買ってどの程度消費するか分かってくるので、戸棚で賞味期限が切れるまで眠る食材はなくなり、棚卸しの把握がとても楽。当然分別ごみの量が減るので、毎度リサイクルボックスへ捨てに行く手間が減る・・通い始めて3年になるので、換算すると普通のスーパーの買い物と比較して相当量の容器のごみが削減できていると思います。
つまり、テレビやバナー広告を見て、新商品を試そうと思ったり、パッケージデザインが可愛いから買おうという消費行動をほぼしなくなったのです(そもそもCMのあるチャンネルを見なくなって久しい・・)。情報透明度が高く、エコロジー&エコノミーで、信頼できるポリシーの店で全てを一括して買う。いちいち容器を洗い、容器を持って店に通わねばならず、AIが人間に台頭するこの時代に逆行しているかのようだけど、ワンクリックで、翌日に大袈裟な梱包材とともに届くオンラインでの買い物に辟易していていた私たちは、不要なものを削ぎ落とした「アナログな信頼関係」を消費生活において求めているのかものかもしれません。棚を見て、ブランド名や値段で判断し買い物をすることが一切なくなるということであり、旧来型のマーケティングではもはや届かない、新しい消費者の価値観が確実に浸透していっていると肌身をもって実感しています。
2.マルシェ
2つ目は、やはりマルシェの存在。週に一度まとめて生鮮食品を買いに行きますが、卵の容器や野菜を入れる袋(八百屋の紙袋と、無漂白オーガニックコットンの布袋)は何度も再利用・・顔馴染みの店員さんは私が袋を持参していることを知っているので、袋を手渡すと、1キロのジャガイモとか2把の葉人参とか頼んだ量を入れてくれます。
鶏屋さんはラベルのブランドなんて御構いなし、持参したバラバラな空き容器に新鮮な卵を入れてくれます。ある程度のおおらかさと、細かいことをあまり気にしない国民性の元に成り立っているような気もするのですが、自分が小さい時、おつかいで豆腐屋さんにボールを持って買いに行っていたのと同じでは・・と思うのです。
3.庭あり家庭むけコンポストの無償提供
最後に、コンポスト・・LFCコンポストのような都市型コンポストは残念ながらまだフランスでは買えませんが、私の住んでいるパリ郊外では、庭のある世帯は市の衛生課に依頼すると、無償で木枠のスタンダードなコンポストを設置してくれます。
うちはアパートの共用の庭があるので、そこに1,000リットル容量のコンポストを設置し10世帯が共同で使っています。バカンス時期やストライキでごみ収集がいつストップするかわからない不安への対策としても・・生ごみが堆肥になるコンポストの素晴らしさを実感しています。
コンポストでできた堆肥で始めた小さな菜園。お隣さんのトマトと競い合いながら(笑)「土いじりは幸福度を上げる」そうですが、本当にそうだなぁとしみじみ思うし、種から育てた野菜の収穫の楽しみは格別のもの。特にCOVIDの影響で家にいる時間が増えた昨今、周りを見てもガーデニング人気が格段に高まっています。
継続できないような無理なことはせず、自分にできる範囲で今後もストレスフリーなごみゼロの実践を心がけていこうと思います。