
みなさまこんにちは。
Relight株式会社の市川加奈と申します。
(社内では「いっちー」と呼ばれています)
ボーダレス入社4年目の私は、ジョッゴ株式会社で約3年間修行をした後、今年の4月より新規事業を始めました。
そして、先日10月1日付けで「Relight株式会社」として会社を登記いたしました。
事業テーマは「見えないホームレス問題」。
学生時代からなんとかしたいと思っていた問題で、ボーダレス・ジャパンを選んだのも、この問題を解決する方法を見つけ、事業という持続可能な仕組みをつくりたいという想いからでした。
今日は、まずホームレス問題がどんな問題なのか、そしてどんな想いで事業を始めて、どんな社会をつくっていきたいと思っているのか、社長ブログというかたちでお話させてください。
この問題に関心を持つ人がひとりでも増えてくれたら、そして、読む前と見ている世界が少しでも違って見えたら幸いです。
1.豊かな国にある貧困
物心がつく頃から、私は子どもよりも高齢の方が好きでした。
自分よりも知っていることが多くて、いつも優しく見守ってくれて、特に高齢の方特有の自虐ジョークが面白くて面白くて…
自分より人生経験の長い先輩のために働いていきたいと思うようになり、親戚に介護や看護系の仕事をしている人が多かった影響もあったので、介護福祉士を目指していました。
そんな夢を持ちながら高校に進学して、地元から都心に出るようになってから、道端で寝ている高齢の方の存在に気がつくようになりました。
寒空の下、路上に座っている人。
段ボールにくるまって寝ている人。
ひとりで編み物をしている人。
ひとりで何をしているのだろう?
なんで家に帰らないのだろう?
当時の私はそんな疑問を抱きながら、その人たちを見て見ぬ振りをしている大人同様話しかけることもできず、ただ見守ることだけしかできませんでした。
これが始めてホームレス状態の方に出会った瞬間。
何かしたいけど何もできないもどかしさを覚えました。
何もできなかったけど、貧困問題に対する関心は残ったので、大学に進んで、もっと知見を得て、世界を広げようと思うようになり、社会学や国際協力を主に学ぶことを決意します。
現状を座学だけでなく、自分の目で見たいと思い、主に国外、途上国を訪問して現地調査を行うようになりました。
アジアやアフリカ、様々な国を見ていくうちに、勝手に貧しいと決めつけていた自分の固定概念に気づきました。
彼らは日本に比べて生活は貧しいかもしれないが、不幸ではない。
生活は苦しいながらも家族で仲良く暮らしていました。
一方、日本ってどうでしょうか?
路上生活をしていて、ひとりで生きている人が大勢いる。
勇気を出して話しかけたら、「このまま誰にも迷惑をかけずに死にたい」と言っている人がいる。
一見、豊かで先進国といわれている国、日本。
私は、その豊かな国で起きている不幸な現状をなんとかしたい。
生きていてよかったと、幸せを感じられるようにしたいと改めて思うようになりました。
2.見えないホームレス状態
よし、ホームレス問題をなんとかしたる!!
まずは現状の問題をちゃんと把握しよう!!と思い、全国の炊き出しや支援団体を訪問し、当事者と支援者と話し、活動に参加させていただきました。
それと併せてホームレス支援を行う2つの団体でインターンをさせてもらい、現状を分析しました。
彼らが求めているものは何なのか?
路上生活が長期に渡る人は、高齢だったり、障害や疾患を持っている人が多かったりするので、就労して生活を立て直すというより、まずは住まいを持って、生活保護を受けて、生活と体調を少しずつ立て直していくことがベストではないか、と。
それは支援団体や行政の活動で徐々に成果が出てきているのであえて私が新しく行う必要はない、と判断しました。
そして問題を調べる上で、支援団体や行政支援が届きにくい、「見えないホームレス状態」の人がいることを知ります。
主にネットカフェなど安定した住まいを持たない方のことで、東京都だけでも約4,000人以上いると言われています。
流動的に生活しているので統計も取りづらく、目に見えないので、こちらから声をかけづらく、どこにも繋がることができない人が一定数いるのです。
彼らは非正規雇用や、日雇い、請負(業務委託)など、不安定な仕事しかなく、一度その状況になってしまうと、賃貸契約の初期費用を払えず、家を持てません。
また、正社員として働くとしても、初任給までの生活ができず、日払いの仕事しかできないので、自転車操業の生活からなかなか抜け出すことができません。
当事者にもヒアリングした結果、彼らは支援を調べず、今日できる仕事を探しています。
仕事をして生活を立て直したいのです。
それなら、私が仕事という窓口から彼らに繋がれたら、現状から就職後までワンストップでサポートでき、現状から抜け出すことができるのでは?
そんな考えから生活基盤を整えてから、一緒にお仕事探しを行う事業「いえとしごと」ができました。
文字通り住まいと仕事部分を中心としたサポートです。
私たちにつながった後、必要であれば行政支援や支援団体の力も借りるし、フルタイムの就労が難しい場合は、生活保護を進めるかもしれないし、本人にとって何がベストなのかをその都度考えながら見えないホームレス状態から立て直すためのサポートを行っていきます。
3.何度でもやり直せる社会を
始まって約半年。
まだまだ駆け出しでドタバタですが、150名以上の方からすでにお問い合わせをいただき、就職して継続するところまでのサポートをしています。
数回会ってお互いの話をしていくと、初対面のときと比べて、確実に相談に来られた方の表情が変わっていきます。
強張っていた顔から、少しずつ笑顔が出てくる様を近くで見ることができるときが、この事業を始めてよかったなと思う瞬間です。
本当に別人のように変わっていくので、環境が人を良くも悪くも人を変えてしまうんだなと実感しています。
私たちに相談してくれた人の瞳に、少しでも希望の明かりを灯せるように。
自分の人生捨てたもんじゃないと思えるように、私たちの会社が着火剤になれたら、嬉しい。
そんな想いを込めて、社名をRelight(リライト:再び明かりを灯す)にしました。
まだまだ未熟ですが、誰も孤立せず、何度でもやり直せる社会をつくるため日々精進してまいりますので、引き続きご指導ご鞭撻のほど賜りますようお願い申し上げます。