
こんにちは。やまとです。今回はうちのメンバーであるワトソンを紹介します。(あの有名なWatsonではなく、うちにいるのは"ワトソン"です)
彼との出会いは、私がボーダレスキャリア事業の立ち上げ準備をしていた時期、児童養護施設を退所した若者に話を聞くために開いたイベントの席だった。
彼は小学校一年生から児童養護施設に入り高校卒業の18歳までそこで暮らした。その後は専門学校に進み、新卒で印刷会社に就職したが給与が低い上に残業も多いということで一年ほどで離職してしまう。それからも転職を繰り返してしまい、20代前半で3回仕事を変わっていた。出会った時も4社目に退職願いを出した直後で「もうすぐ無職になります。」と笑っていた。
ステップ就職の利用者第一号
4社目を辞めた後は深夜の倉庫で荷物の仕分けのアルバイトをしていたのだが、借金もあって返済がきついので今後はもっと稼ぐために昼間にもバイトを入れるつもりだと言っていた。だったらどっかに正社員として就職して安定的に稼いだ方がいいんじゃない?とアドバイスすると、「借金を抱えた状態だと仕事に集中できない。全て返し終わってスッキリした状態じゃないと正社員として頑張ることができない。」とのこと。言っていることが意味不明だった。
その後も何度か会って、これまでの仕事のことや、なぜ辞めたのか?これからどうしたいのか?などいろいろと話を聞いていたのだが、話をすればする程「マジでこいつ大丈夫かぁ?!」と心配になってきた。
ただ、彼にはとても良い面があった。普通だったら話しづらいようなこともさらっと話してくれる。子供頃の親との関係、養護施設での話や自分の失敗談など、聞いている側に変な気を使わせない雰囲気がある。オープンマインドで誰でも同じように受け入れるし、人を見た目で判断せず先入観なく接することができる。彼のこの力は本当に素晴らしかった。
そこで私が「将来のことを考えて正社員を目指そう!」と説得し、彼はステップ就職の最初の利用者になった。
児童養護施設出身の自分だからやる意味がある
正式に利用者となりワトソンの就職活動が本格的にスタートした。改めてなにがしたいのか?など深い自己分析も行っていくと、彼からこんな言葉がでてきた。
「おれ、自分と同じ児童養護施設で育った人たちが社会に出てから困った時の手助けがしたいんです!」
これあるあるというか、これまで話を聞いてきた他の養護施設出身者もよく言っていた。通常は18歳で施設を出ることになるが、社会に出た後も親や家族を頼ることができないため一人で生きていくという不安に押し潰されそうになることもある。それが原因で仕事や生活面でバランスを崩し、離職を繰り返すなど負の連鎖に巻き込まれていくケースも多い。自分が当事者としてそのような不安を抱えていたり失敗を経験したりすると、後輩にはそんな思いをさせたくないとい考えるのは自然な流れなのかもしれない。
しかし、ワトソンは他の人たちとは違う点があった。大抵口では言うものの実際に行動に移している人は少ないのだが、彼は仲間と支援団体を作り休日も自分の時間を支援活動に充てていたりとちゃんと行動していた。当事者として様々なイベントに呼ばれ登壇する機会も多く、児童養護施設など社会的擁護と呼ばれる環境への理解を広め偏見をなくしたいと動いていた。
その後も何度も話をしたが、そこへの想いは揺るがなかったので「だったら一緒にやろう!」ということで、ステップ就職の最初の利用者から最初のスタッフとなった。
入社後の彼の役割は求職者を集める担当。児童養護施設や自立援助ホーム、それを支援しているNPOなどとの関係性を構築し、仕事で困った人がいたらうちを紹介してもらえるよう働きかけることが仕事だ。東京、神奈川、千葉、埼玉を中心に150以上の施設や団体を一件一件訪問して地道に関係性を築いていったり、会合やイベントにも積極的に参加しステップ就職の認知を広げていく。前から続けている自分の活動も仕事の一部となり、より精力的に取り組むようになった。
もちろんそれだけではない。スタート時のメンバーは私とワトソンとバディの作内の三人だけ。どうやっても人が足りないので、企業開拓のための電話営業や訪問、自社で開催するサービス説明会やイベントの担当、求職者との面談や会社見学への同行など様々なことにチャレンジをしてきた。
正直、彼はまだまだ課題が多い。相手の気持ちを汲む、深く思考する、分かりやすく伝えるなどビジネスマンとしては力不足だ。しかし、彼には可能性がある。キラリと光る強みもある。特に凄いのは前述したオープンマインドであることと、相手のためなら自己犠牲も厭わないという姿勢だ。これは本当に素晴らしい!
そういったいい面が相手にも伝わっているのだろう。この一年で養護施設関係者や支援団体などでは「仕事で困ったらステップ就職」というのが浸透してきている。実際に施設を出た若者など毎月紹介が来るようになった。まだまだこういった就労支援があることを知らない人たちはたくさんいるし、そういう人ほど誰も頼れずに困っている。
「自分が成長しないと助けたい人たちを助けられない!」という想いで努力を続けるワトソンと供に、この事業が真に社会に必要とされるもになるようブラッシュアップを重ねていきます。
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直通電話:03-5227-8890 担当:高橋大和(やまと)
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