こんにちは。やまとです。企業の人手不足が叫ばれている一方で、前回のブログで書いたように、就職はできるが人間関係などでいつも躓いてしまい離職を繰り返してしまう若者がいる。

彼らは働く意欲も高く体力もあるが、放っておくと失敗体験ばかりを繰り返し自己肯定感が低下するため、引きこもりになったり犯罪に走ったり、風俗に引き込まれていったりしてしまう。

ボーダレスキャリアが運営する就労支援サービスステップ就職を通してこういった若者と多く接する中で、彼らは「自己肯定感の低さ」「独特なコミュニケーションの取り方」「未来を想像する力が弱い」という三つ、もしくはこれを起因とした課題を抱えている場合が多いことが分かってきた。

そうして事業をやっていく中で、我々は一つの問題に気付いた。彼らは世間から自己責任の一言で片づけられてしまうため、抱えている問題が非常に理解されにくいことだ。支援者側の方にも数多く出会ってきたが「企業側の理解が足りない。」とは言うものの、具体的な解決策を持っていないところがほとんどだった。また、経営者や企業の採用担当者とも話をしてきたが、こちらはこちらで「最近の若者は忍耐力がない。扱いが難しい。」と嘆いているだけで、変わろうとする企業は多くはなかった。

そこで私が感じた一番の課題は、お互いが相手を理解し歩み寄ろうする姿勢が足りないことだった。それぞれが自分の立場に固執し過ぎていて「じゃあどうする?」と解決に向けての行動に移す人が少ないことだ。

物理的な接触が理解に向けての「きっかけ」になる

何かを選択する際に「具体的なイメージを持てるか?」というのはとても重要だ。そのイメージを持つための手っ取り早い方法が、実際に自分が直接関わってみること。会社説明会や数回の面接だけという関わり方では足りない。お互いの事を深く理解するためにはある程度の時間が必要なのだ。

ステップ就職では、面接を受けて合格した後もすぐにその企業に入社はしない。合格後からプレ就職という互いの見極めのためのお試し就労がスタート。本人はステップ就職と雇用契約を結び、給与はもちろん社会保険にも加入した状態でその企業で働くことができる。これによって「最初はよかったけど3ヶ月働いてみたらなんか違った。」というミスマッチを防ぐのだ。

さらにこの仕組みは企業側からするとアルバイトを採用するよりも導入のハードルは低い。なぜならアルバイトは直接雇用することになるが、この場合は自分の会社で働いてはいるが雇用契約は発生していない。そのため、もしこの人はどうやってもうちには合わないと判断した場合は、ステップ就職にそのことを伝えてプレ就職を途中終了すればいい。その場合は解雇扱いにならないので、安心して自分の会社に合う人材かを見極めることができるのだ。
※もちろん逆に働いている側が「この会社は嫌だ。」と言って辞めることもできる。

若者に伴走する就活パートナー

■配送業で正社員として働く男性のケース
年齢:22歳 学歴:中卒 転職回数:5回
彼の課題はコミュニケーションとストレス耐性。上手くいかないことがあると自分の感情を抑えきれず周りと衝突してしまう。高校を中退した後は建設業や飲食業の仕事をやっていたが、そこでも周りとの関係性が上手くいかず離職を繰り返してきた。

就活パートナーの仕事はこういった課題を本人が乗り越えるサポートをすること。プレ就職の期間は本人と勤務先企業の間に立ち、実際に働く中で発生する失敗や見えてきた課題に対して「原因はなんだったのか?」「どこが問題だったのか?」「どうすれば良くなるか?」を本人と企業と一緒になって考え、対策を講じていく。本人が成長することはもちろんだが、企業側にも改善点があればバンバン働きかけていく。

彼の場合は合計3社でプレ就職を実施。一社目は一ヶ月持たずに自分から退職、二社目は三カ月で企業側からNG、三社目でオフィス街を中心に自転車で荷物を配達する今の会社で正社員採用となった。この間は日々の電話や2週間に一度の個別面談、企業とも密に連携を取りながら課題に向き合ってきた。面談では自分と向き合う苦しさやできない悔しさから涙することもある程だった。

そういったことを繰り返していく内に彼は成長した。相手の気持ちを理解しようとするようになったし、そうすることで感情的に相手と衝突することは減った。今の会社もそこを評価してくれており、社内では現場の若手を引っ張る中心人物として活躍している。

働けないわけじゃない。働きたいんだ。

この彼のように働く意欲も高く体力もあるが、人間関係などで躓くケースは多い。さらに育ってきた家庭環境や社会経験の少なさなどが複雑に絡み合い、独特の思考の癖や物事をゆがんだ視点でとらえてしまうこともある。そういう時に重要になるのが周りの大人の存在だ。「過去は変えられないが未来は変えられる」そう信じて本気で関わり続けていると、彼らは驚くほどのスピードで変わっていく。

とは言ってもほとんどの企業は始めは半信半疑。「大丈夫なの?採用してもすぐに辞めるんじゃないの?」とか「ちゃんと育成できるか自信がない」と心配は尽きない。そこで我々が「そんなのやってみないと分からないじゃないですか?こういった仕組みがあるので、まずはやってみましょうよ!」とステップ就職の話内容を熱く説明すると「そうだな~やってみるか!」という感じでスタートする。

そうして一週間、一ヶ月、二カ月と一緒に働いていくうちに周りも何かが変わり始める。悪い面も見えるが、それ以上に良い面も見えてくる。ちゃんと向き合ってあげれば彼らもそれに応えようとするというのが分かってくると、だんだんと「なんとかして一人前にしてやる!」という想いが生まれてくる。そうやって関わっていくうちに会社側も変わってくるのだ。

だからこそ、どちらか一方だけが歩み寄るんじゃなく片方が歩み寄ったらそれに応えてもう一方も歩み寄る。これの繰り返しでお互いは理解できるようになる。一緒に働いてみる。休憩の時にご飯を一緒に食べてみる。仕事の後に一度ゆっくり話を聞いてみる。それだけでいい。それこそが本当に大切なことなんだ。

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