
ビジネスレザーファクトリー(以下、ビジレザ)の「はなみち」こと、原口瑛子です。
8月下旬となり、朝夕は少しずつ涼しくなってきました。みなさま、いかがお過ごしでしょうか。
7~8月は、ビジレザにとって、新しい挑戦の毎日でした。期間限定店として、東京ソラマチ店、熊本空港店、神戸空港店をオープン。初の東京ソラマチ店では、「似顔絵刻印」にも挑戦。全国からいらっしゃるお客さまに、ビジレザを知っていただく、とても素晴らしい機会になりました。
そして、8月11日(金)には常設店全国8店舗目となる広島空港店がオープンしました。ついに、「空港×ビジレザ」の始動です!また、たくさんのお客さまに出逢えることを楽しみにしています。
さて、今回のブログでは(突然ですが...)「いい会社」をテーマにしたいと思います。
先日、長野県伊那市にある「伊那食品工業会社」(以下、「伊那食品」)に、ボーダレス・ジャパングループの代表取締役社長田口と副社長鈴木、そしてビジレザの日野美久(チャーリー)とともに、企業視察に行ってきました。
「日本一いい会社」と呼ばれる伊那食品。そこで、今の私が感じたことや学んだことを、今回のブログに綴りたいと思います。
「伊那食品」とは?
「伊那食品」は、「かんてんぱぱ」でおなじみの業務用寒天メーカーとしてスタートし、現在はゲル化剤などを取り扱う食品メーカー。ご存知の方も多いかと思いますが、この「伊那食品」には、日本を代表する大企業の経営幹部たちが足繁く視察にやってくるそうです。
その「伊那食品」を率いるのが、塚越寛代表取締役会長(以下、「塚越会長」)。
塚越会長は、「いい会社をつくりましょう」という社是を掲げ、企業の目的を「社員を幸せにすることを通じて、いい会社をつくり、社会に貢献すること」と明言されている経営者。
「永続」こそが企業の最大価値とし、「年輪経営」と呼ばれる「木が年輪を重ねるように、少しずつ確実に会社を成長させる経営」を実践。48期連続増収増益という偉業も実現されています。
視察前に、塚越会長の著書「いい会社をつくりましょう」や「リストラなしの年輪経営」などで予習しました。それらを読めば読むほど、私の頭の中には経営者としての、たくさんのクエスチョンマークが。
「これを実践している会社って、一体どんな会社なんだろう?実際に行って、見て、感じて、もっと知ってみたい!」
ということで、視察当日。
そこには、「いい会社」を実践するために、たくさんのヒントがありました。
いい会社で実践されていたこと
「伊那食品」に到着し、最初に目を奪われたのは、広大な美しい庭でした。
東京ドーム約3個分の敷地には、手入れの行き届いた木々や美しい苔があり、それらの庭はすべて約200名の社員の手で手入れされているとのこと。
掃除時間は、明確に決められているわけではなく、それぞれの社員が好きな時間に出社して、掃除を始めるそうです。また、掃除の場所も、決められているわけではなく、それぞれの社員が好きな場所や、その日に気になった場所を掃除するそう。
当然のことながら、掃除を外部委託すると、多額の経費がかかります。それを、自分たちの手で徹底して行う伊那食品。そこには、会社を、「自分たちの家」のように感じ、「自分の家を綺麗にするのは当たり前」という、社員のみなさんの想いを感じました。
ちなみに、週末に出社して掃除をする社員もいるそうです。また、通常は資格がないと使用できない機材も、わざわざ資格をとって使いこなしている社員もいらっしゃるそう。掃除用具も、当然のことながら、完璧に整理整頓されていました。
その後、朝礼やラジオ体操を視察。
朝礼では、数名の社員の方が全社員の前に立ち、現状や課題、そこから得た気づきなどを報告されていました。特に役職のある方が報告するわけではなく、各部署の社員が当番制で報告しているそうです。
朝礼や掃除、その目的は?
掃除や朝礼の視察の後には、塚越会長による講演会がありました。各経営者の方々から塚越会長への質疑応答が行われ、その中で実践に基づく多くの金言がありました。
講演の中で、たくさんの学びがありましたが、現在の私に一番響いたこと。
「経営」には、「哲学」が大切だということ。
そして、全てにおいて、「目的」が大切だということ。
例えば、掃除について。
これは、掃除をすることが目的ではなく、掃除を通して「気づき」を得ることが目的だそうです。日々の暮らしの中で五感を研ぎ澄ませて、変化などに気づくということを大切にする。
例えば、朝礼について。
これは、報告することが目的でなく、「これからの人生で、大勢の前で話をする機会に、緊張することなく話すことができるように」という目的だそうです。
そして、ビジネスにおける売上や利益について。
ビジネスをおこなう上での売上や利益はあくまで手段であって、それは目的ではない、ということ。健全な経営をしていれば、売上や利益は自然に出てくるものであり、それをどう有効に使うのかということこそが、大切だということでした。
「伊那食品」の企業の目的は、「社員の幸せ」。例えば、生産工程に新しい機材を導入するという判断は、生産効率を上げて売上を伸ばす「目的」ではなく、社員が快適に働く環境を整え、より幸せになることが「目的」だそうです。
とにかく、すべてにおいて、「目的」が大切。
塚越会長の一つひとつの言葉に、「経営哲学」を感じました。
視察前に感じていた「もやもや」
実は視察前、経営書などを学びながら、私の中で経営者としての「もやもや」を感じていました。
「いい会社をつくること」、そして「企業の目的」は「社員の幸せ」であるということは疑いようもなく、経営者としてあるべき姿であると理解している。一方で、「年輪経営」を、現在の私たちの事業、つまり「ビジレザ」に当てはめることができるだろうか、という純粋な疑問からくる葛藤でした。
当然のことながら、「売上や利益を伸ばしたい」という私利私欲から芽生えたものではなく、次の二つの観点から、この葛藤を感じていました。
一つ目は、まだまだ始まったばかり、つまり成長ステージで言うと、「創業期」や「成長期」の私たちのビジネスにおいて、「年輪経営」を実践することができるのか、という観点。
「創業期」では、そもそも「売上や利益」がなければ、社員に安定した給与すら払うこともできず、存続すらもまだ安定していない。その段階で、経営者として「年輪経営」をどこまで実践できるのか。
二つ目は、社会問題を解決することを目的としている、私たちのソーシャルビジネスの特性上、ある一定のスピード感をもった成長が必要がではないのか、という観点。
例えばビジレザの場合、「売上や利益」=「バングラデシュにおける雇用創出」。「売上や利益」がなければ、「他の工場では雇ってくれない」と、バングラの自社工場を頼ってきてくれた人達も、雇用することができない。つまり、その人達は路頭に迷うかもしれない。
物乞いをして生活しなければならないかもしれないし、日雇い労働などの健康を害する肉体労働に就くかもしれない。女性であれば売春をせざるを得ないかもしれない。
「売上や利益」のある一定のスピード感のある「成長」があれば、多くの貧しい人たちを助けることができるのではないか。
ボーダレスに入って常に考えていたこと。それは「社会問題は待ってはくれない」ということ。社会問題を解決するソーシャルビジネスにおいて、「スピード」こそが重要だと思っていた私にとって、「いい会社」を今のタイミングで目指すことへの葛藤がありました。
そして、今の私が行きついた答えとは...
視察から、約2週間が過ぎました。ようやく辿り着いた、現在の私の答え。
それは、「スピード感のある成長」も「いい会社をつくるということ」も、両方大切だということです。
ただ、「成長」については、「スピード感」のある「正しい成長」をしたい。
それは、一時的なブームによる急成長ではなく、バングラの雇用を継続的に創出できる「スピード感」。
そして、売上や利益を自然に出し、さらにそれを正しく使う、「正しい成長」。
また、「いい会社をつくるということ」については、常に「あるべき姿」や「理想像」を明確に掲げながら、組織の成長ステージに合わせて、まずは基本的なレベルから、日進月歩で実践していきたい。
その一つひとつの実践こそが、「いい会社」をつくり、そして「会社」という枠組みを超えて、「社会」にも影響し、最終的にはその先に、「いい社会」をつくることができる。
塚越会長の講演や著書を改めて自分なりに解釈し、ようやくこの答えに至りました。これから、経営者としての経験を積みながら、さらに深い解釈をしていきたいと思います。
ということで、早速ビジレザでは、いくつかの取り組みを始めました!
まずは、「いい会社」の基本となる、「挨拶」や「整理整頓」から。まだまだ、私たちは始まったばかりです。「できていない」という現実を、まずは「自分達が知ること」から始めました。今後、少しずつ実践を積み重ね、一歩一歩ではありますが、「いい会社」を目指していきたいと思います。
ちなみに、ビジレザでは、経営理念(案)を「世界中の「働く」を明るく」と決めた後、それを実践するために「「働く」を明るく」実行委員会を発足しました。
実行委員長は、視察に一緒に行った入社2年目の日野美久(チャーリー)。彼女は、ビジレザが独自で開催している「店舗社長会」を担当しているのですが、自分から「実行委員やりたいです!」と手を挙げてくれた一人です。
ビジレザの「「働く」を明るく」実行委員会でたくさんの実践を積みながら、ボーダレス・グループ全体も「いい会社」にしてくれそうな、ポテンシャル満載のチャーリー。さっそくボーダレス・グループ全体の取り組みも始めました。きっと彼女なら、「いい会社」を作るための、たくさんのいいアイディアを実行してくれると信じています。
ということで、まずはビジレザで始めた取り組みを、ブログに綴ってくれるそう。乞うご期待!
最後に、今年8月11日にオープンした広島空港店では引き続き一緒に働くメンバーを募集中!
ご関心のある方は、是非「求人情報」からご応募ください!
■ビジネスレザーファクトリーとは?
手頃な価格で上質な革製品を提供する「働く人のための」牛本革製品専門ブランド。バングラデシュの貧困層に雇用を生み出すことを目的として始まった。バングラデシュでは、年に一度開催されるイードと呼ばれるお祭りで、大量の牛皮が発生する。この牛皮を使った革製品の工場で、雇用を生み出せる可能性を見出だし、2014年に事業をスタート。創業から3年、現在工場では約626名を雇用、その家族を含め、約2500名の生活を支える。2014年3月よりネット販売を開始、現在8店舗を構えている。2015年には「楽天ショップ・オブ・ザ・イヤー2015」を受賞し、「ガイアの夜明け」、「事業構想」などメディアにも多数掲載される。
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