
先週1週間、バングラデシュで立ち上げているダッカ工場に訪問しました。 この工場は、バングラで「がんばりたいけどがんばれない」人たちに仕事を、ということで昨年の9月に立上げ、昨日増えた3人を含め、18人の仲間と共に現在スタートアップ中。既に製品を受注、出荷し、毎日より高いクオリティーの商品を生み出そうと、みなが真剣に仕事に向き合っています。
ここでは、夫と別れ子供を自分で養わなければならないが、なかなか仕事が見つけられず困っていた人々、お父さんが早くに亡くなり、自分がお母さん、兄弟姉妹の生活を支えなければならない人々、田舎で農業だけでは生活が苦しく、仕送りするために都会に出てきた人々、などなど、が一生懸命頑張っています。
ボーダレス・ジャパンの理念は、「社会問題をソーシャルビジネスで解決していく」、ということ。バングラの工場は、その理念を実現するため、既に技術を持っている人=それなりに収入を得られる状態にある人、よりも、上に書いたような技術はゼロでも、真剣に頑張ろうとしている人々を積極的に仲間に迎え入れています。 今回の僕の訪問目的の一つは、世界的なブランドを運営している会社の方の工業見学をアテンドすること。そこで頂いた言葉、「みんな顔が違う、目が違う。真剣にやっている素晴らしい仲間ですね。将来期待できます」。実際、みんなイイ顔してるでしょ!
毎回バングラ工場に行って思うこと。人は目標をもち、お互いを認め合い、思いやる仲間に囲まれている時、本当に活き活き頑張ることができる。 彼らの目標は、自分の頑張りで家族を支えること、そしてそのためにトップクオリティーの商品を自らの手で生み出せる技術者、職人になること。 これまでいろいろな工場を見学させて頂きました。
そのほとんどが大量生産型。そこで働く人々は、細かく分割された作業を延々とこなし続ける毎日。もちろん作業の配置転換や昇進の制度はあるでしょう。でも、全く楽しそうじゃない、というのが僕の印象。僕らの仲間の中にも、コバ塗という作業を5年間ずっと続けてきた、という人がいる。どんなに頑張っても、ずっとそればかり。それで本当に、仕事が楽しいのか?もちろん、その道のエキスパートとして、さまざまな研究をしながら仕事をしているのであれば別の話。彼らは、流れ作業の「パーツ」として延々と単純作業を繰り返している。
僕は、仕事を楽しめない限り、クオリティーも何も知ったこっちゃない、と誰しもがなってしまうと思う。自分の仕事が、次の人にどのような影響を与えるかも絶対に考えなくなる。朝、工場に来て、作業して、時間になったら帰る。工場がただそれだけの存在になっちゃったら、そんなつまんねーことはない。
バングラ工場は、延々と続く商品製造ラインは作らない。少人数チームが、それぞれの役割分担のなかで頑張り、最終製品まで創り上げる。自分の仕事が終わった人は、仕事がまだ終わってない人を手伝う。結果、互いが互いの仕事を理解し、それぞれの仕事を少しずつ学んでいく。互いにもっとクオリティーをアップできる方法やスピードアップの方法を考え色々な方法を試してみる。最後には、お客さまにお届けする最終商品を手に取り、全員で検品する。 こうしてそれぞれが頑張っていくことで、最終的には最初から最後までの工程を一人で作ることができるようになる。自分が創り上げた商品が、きちんとお客様のところに届き、それを大切に使ってもらえること。
そのことほど、作り手にとって嬉しいことはありません。そのお客様たちのメッセージを、彼らに届けられるようにできれば、もっともっと良い商品を創りたい!と頑張れると思います。早くその声を届けたい! 頑張りたい人が頑張れる工場へ、そして、働くことが楽しい工場へ。 その挑戦は始まったばかり。バングラ工場の成長を楽しみにしていてくださいね。